米沢地方関連書籍(H20~H27)
会長 下條 泰生
この度、社団法人米沢有為会創立百二十周年記念事業の一環として、本会関係並びに上杉家にか かわる図書を主体に、米沢、置賜郷土にちなむ図書・資料の紹介目録を発行する運びとなりま した。一地方に関連するかかる種類の図書目録の刊行はあまり類例がないと思います。
本会会員は勿論、郷土出身・関係者一般の皆様にも郷土の歴史、郷土文化へいざないの道標として目にとめていただき、特に当目録に掲載の上杉家、有為会関連図書をご講読の契機として本会にご入会いただければ幸甚とご期待しているところです。
この期に、関連する全ての図書・資料を網羅することはできませんでしたが、もれた既刊書や、さらなる新刊書については、随時当会のホームページに入力し、パソコン検索できるシステムを構築し、今後次なる節目の機会に、また冊子による続刊発行を考えているところです。
また、有為会会誌等のデジタル化は予算とも相談の上、将来の課題でもあります。
最後になりましたが、当「図書目録」の企画にご賛同いただき、図書・資料リストをご提供いただいた市立米沢図書館、長井市立図書館、我妻榮記念館、米沢市の遠藤書店・羽陽印刷の各位には厚く御礼申し上げます。また、作成にたずさわつた東京支部だより編集委員会諸氏の労に感謝いたします。
世話人 鈴木 脩二
戦後最初の有為会会長となった相田岩夫が有為会々誌・復刊第一号(昭和二十七年)の誌上で、― 有為会に寄せる― と題して、その冒頭に〝故郷をなつかしむのは人間至純の情であると思います〟と述べている。郷里から離れて暮らす大方の会員がこのような想いを深めるのは現役の勤めを卒業する還暦を過ぎてからではないでしょうか。
子供のころ祖父母や父母から聞きかじり、学校の先生から教わった郷土の誉れ高い歴史的ことがらへの関心がこの頃から昂じてまいります。
時あたかも、「天地人」の出現は上杉米沢藩の源流を伝えて余りあります。米沢藩中興の祖鷹山の崇高なる信条とそれに基づく善政と奨学の実績も古文書を紐解いた先達賢人によって知ることができます。また、戊辰の戦役から脱しながらも廃藩置県を経て、旧藩主茂憲公と側近家臣との義の絆は上杉家家財をもとに米沢教育会の発足を生み、有為会発祥の芽となっていきます。また、藩校における洋学奨励の実りは文明開化の波に乗り、若い有能な志士たちが奥羽の狭い盆地から上京して諸大学に進学し、縁戚先達の支援と友人との切磋琢磨によって偉大な官僚や軍人、学者、財界人を輩出することとなって米沢有為会の創設と継承につながり、今年百二十周年を迎えることになりました。
この機会に、有為会の草創期に関わった先人や近代に亘る先達群像に因む歴史的文献・関連図書をはじめ、本会の本流たる上杉米沢藩の歴史を主体に、広く置賜全域の市、町、村史や学校史、貴重な地域伝承文化史等の図書・資料を検索、閲覧されることにより、〝故郷を偲ぶ人間至純の情〟が殊更深まるものと思い、郷土にちなむ「図書目録」を編集してみました。当目録を活用されてご講読いただければ幸いに存じます。